ローカルなマテリアルのデザイン  The Design of Local Materials



ローカルなマテリアルのデザインプロジェクト 

Designing by using local material

in 2019

地域の素材を使って都市と里山をつなげる
Connecting Satoyama to cities using local material

 

現在、水源地や里山地域の広葉樹の活用方法が少ないという問題がある。広葉樹は針葉樹に比べ、重くて硬いので木材として扱いにくいためである。本プロジェクトは昨年度に引き続き、広葉樹の性質を理解した上で、それぞれの木材に合った活用および地域の状況を鑑みた活動の模索を目的とし、今年度はフレグランス班、木材班、藍染め班の3班に分かれて活動した。

フレグランス班では足柄のミカンや大学内のクスノキを使用したルームフレグランスを製作した。班員自らが取りに行ったミカンの皮やクスノキの葉を加熱し、香りを抽出した。抽出したフレグランスを、班員がデザインしたラベルを貼ったボトルに詰め、オープンキャンパスや常磐祭で販売した。

木材班では大学内、および神奈川県内にて伐採された広葉樹の木材を利用して、それぞれの木材の特徴を活かしたスツール制作に取り組んでいる。今年度は、キリ、クワ、クスノキ、ウルシ、ムクノキの5種類を利用した。軽いこと、逆に重いこと、または杢目が美しく出ることなどそれぞれの特徴をどのようにデザインに取り入れるかを考えて制作している。

藍染め班では「糸の町」として有名な神奈川県愛川町の伝統産業である藍染めを行った。クリップやビー玉などを用いて、新しいデザインの藍染めをし、アクセサリーを製作し、常磐祭で販売した。学内の銀杏を使った広葉樹染めにも取り組んだ。

今後は、様々な広葉樹に興味を持ってその特徴を知ることで、木材のより有効な利用方法、ひいては木材を介して地域の問題を解決することにつなげることができればと思う。また、製作する商品の種類を増やすなどして、より多くの人に広葉樹に関する問題を伝えていきたい。

■学生数:11名 / 担当教員:志村真紀
■協力:原口健一 准教授
■サイト:Instagram: タグ「#ローカルなマテリアルpj」

2018年度

広葉樹の香りと色をデザインする

 

 現在、水源地や里山地域の抱える問題として広葉樹に関する問題があります。神奈川の森林の約6割を占めるのは広葉樹ですが、針葉樹と比べて曲がっており、同樹種でも色や形が違うことから現代建築には使いにくく、さらに広葉樹は市場に出回っていないため流通が悪いという課題もあります。今回、私たちのプロジェクトでは、そんな広葉樹の特徴を知ることから始めるため、広葉樹というマテリアルをデザインすることに一貫して取り組んできました。
 まず、林業家の方から実際にお話を聞き、そこで得た知識から、学内の楠からルームフレグランスを作りました。楠の樟脳の香りと調和する組み合わせを何通りも実験し、その中から3つのフレグランスを常盤祭で販売しました。このフレグランスの販売により、学外の方々に私たちの取り組みや木材の香りを知ってもらうことができました。この活動を知った南三陸町の方々には、できる産業が少ない冬でも、お土産や物産になるかもしれないと興味を持っていただけました。他にも、学内の銀杏や紅葉から色を抽出して広葉樹染めにも取り組みました。さらに、学内に落ちているどんぐりを拾い集めて抽出した染色液を用いて染め物をしました。ここでは、どのような染色剤を用いるとどのような色になるか、という実験をくりかえしました。
 今後の取り組みとして、ルームフレグランスと広葉樹染め共に、YNUグッズとして販売することを目標として活動します。その製作にあたり、フレグランスは、その商品に含まれる広葉樹に関する情報を盛り込むこと、広葉樹染めに関しては、オープンキャンパスに来る受験生に向けて、お守りとして販売することを企画する予定です。
 こうした活動により、水源地や里山の実際に調査した現状や問題点を都市の人に伝えることをめざして取り組んでいきます。

 

■学生数:5名 / 担当教員:志村真紀
■連携・協力:杉山精一(林業家)
■サイト:Instagram: タグ「#ローカルなマテリアルpj」

地域と人と素材を繋ぐ

 

<2017年度の活動報告>

 元々水源地、里山地域として成り立っていたところが現在様々な問題を抱えています。自分たちの生活に深く関わっているはずなのに都心の人々はそのことについてあまり知らないという現状があります。このプロジェクトはデザインを通じて、このような地方と都心、人々をつなげ、経済や人々の移動など、あらゆる点での循環を作ろうとしています。

 愛川町のレインボープラザでは、藍染体験を行いました。箱根の畑宿では、伝統的な寄木細工の体験などを通じて、職人が減っている現状を知り、寄木の良さを伝えるデザインを考えました。常盤祭ではこれらを使った商品を企画・販売しました。それに伴って、このプロジェクトの目的を再確認し、オリジナルのロゴマークを作成しました。また、南足柄の木材の製材工場見学では、広葉樹の市場がないために森が荒れた状態で放置されているという現状を知り、その対策に努める林業家の話を直接伺いました。他にも、秦野市が開発したクロモジの香水をより良いデザインにするべく、同じ神奈川の産品である湘南ゴールドを合わせたものを用いたアンケートを行い、香りによる心身への効果を考察しました。さらに、木材を量的に活用する参考例として、板倉構法による木造住宅を見学し、最新の技術を使うことでの空間としての温もりを感じました。木材利用について新たな視点を持つことができました。木材以外日本各地のマテリアルの利用例として、鹿児島産のシラスの壁や、熊本産の畳なども参考となりました。

 今後においては藍染を通して愛川を考えられるワークショップやツアーなどを企画します。香水は、他の神奈川県産の素材も検討、調査し、それを実用化に向けて商品の開発を行います。木材については、家具のデザインと作成を行い、広葉樹のある暮らしを提案します。

 

■学生数:6名 / 担当教員:志村真紀

■連携先:杉山精一(林業家)、愛川レインボープラザ

■サイト:Instagram: タグ「#ローカルなマテリアルpj」

 

Text by 「横浜国立大学 地域実践教育研究センター Annual Report 2017-2018